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インド化学産業は適切な実現策により2047年までに2兆ドル規模への成長:ASSOCHAM-PwC調査書

June 17,2025
ニューデリーで先日開催された「インド特殊化学品コンクラーベ2025」にて発行された調査書ASSOCHAM and PwC Indiaによると、インド化学産業は世界第6位、アジア第3位の生産量を誇り、2027年までに年平均成長率は11~12%になるといわれています。

調査書は、2023年に2,200億ドルの化学・石油化学市場の22%を占める特殊化学品分野が経済成長のかなめとなることで、この分野のダイナミズムと、持続可能なグローバル・ハブを確立するための可能性に着目しています。

調査書によると、世界の特殊化学品市場におけるインドのシェアは現在の3%から2027年までに4%に上昇するとされています。特殊化学品はインドからの化学品輸出総額の50%以上を占めており、インドの特殊化学品メーカーは国内外市場からの高まる需要に対応するために生産能力を拡大しています。

特殊化学品のサブセグメントの中で、インドは世界第2位の農薬輸出国に浮上し、2022-23年度の輸出額は5億4千万ドルに達しました。染料・顔料分野でも秀でており、世界の染料・顔料輸出の18%近くを占め、2023-24年度の輸出額は顔料乳化剤が583憶1千万ルピー、染料が463億4千万ルピーとなりました。

頑強な成長にもかかわらず、エチレンやプロピレンといった石油化学中間体を輸入に頼ることにより原材料費が価格全体の40~60%を占めるなど、化学産業は輸入依存度の高さなどの課題に直面しています。サプライチェーン崩壊、価格変動、人材不足はハードルとなります。インドを持続可能な世界規模の化学ハブにするためにレポートでは以下の3点を実現策として重要視しています。

適応力のある国際戦略:インドの化学産業は、過去5年間に締結された13の自由貿易協定(FTA)を活用し、市場アクセスを強化し、貿易リスクを軽減する必要があります。また、EU や米国との新たな協定を通じた化学品の貿易ルートの変更も検討する必要があります。輸出製品に対する関税・租税の免除(ROD-TEP)制度や、原材料の免税を提供する経済特区(SEZ)は、コスト競争力を強化してきました。しかし、最近の米国のインド輸出品に対する26%の相互関税は、国際競争力を維持するための機敏な貿易政策改革の必要性を浮き彫りにしています。

卓越したパフォーマンスの構築:デジタルトランスフォーメーションによる卓越したパフォーマンスの構築は、インドの化学業界にとって極めて重要な実現策です。サプライチェーンリーダーの52%以上が、デジタルツインやAl-driven procurementのような技術がオペレーションを最適化し、デジタル化が不可欠であると考えています。インドのCEOのかなりの割合が、ジェネレーティブAIが事業利益に与える影響について楽観的である一方、技術に対する信頼は依然として懸念材料となっています。

技術革新と技能開発のための協力:インドの化学産業は、新たな技能格差に対処し、新製品開発とスケールアップのためのプロセス改良の両方のための技術革新を促進するために団結する必要があるため、技術革新と技能開発のための協力は持続可能で長期的な成長のための次の重要な実現策です。非営利の地域技術移転組織に支えられた産学パートナーシップの制度化は、研究開発と技術の商業化を促進する鍵となるでしょう。