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化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 ( 化審法)

 

法の概要

(法第一条) この法律は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、新規の化学物質の製造又は輸入に際し事前にその化学物質の性状に関して審査する制度を設けるとともに、その有する性状等に応じ、化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行うことを目的とする。
 

法対象物質のカテゴリー

  • 第一種特定化学物質
  • 第二種特定化学物質
  • 監視化学物質
  • 優先評価化学物質
  • 一般化学物質
  • 特定一般化学物質

公示化学物質、上記 6つのいづれでもない(本法対象の)化学物質は原則 新規化学物質 となります。
上記カテゴリーへの分類は、主に以下の項目の審査により行われます:
  1. 自然的作用による分解のしにくさ
  2. 生物の体内に蓄積されやすいか
  3. 継続的な摂取による人体への毒性
  4. 生活環境動植物への毒性
  5. 広範な環境ばく露があるか

例えば、第一種特定化学物質、監視化学物質の性状の概要を表にすると以下のようになります(“―”は審査の基準にないことを示す):
カテゴリー 自然作用
による分解
生物体内
への蓄積
人体への
長期毒性
生活環境動植物
への毒性
広範な
環境ばく露
第一種特定
化学物質
人体に対して有 または 
高次捕食動物に対して有
監視
化学物質
どちらも不明

この表から見てとれるように、この2組はある種の 対 になっていて、それぞれ毒性が判明しているか否かで分類され、後者について、毒性が認められ次第 第一種特定化学物質に指定されます。
 

本法における “既存化学物質”について

例えば、アメリカの TSCA(Toxic Substances Control Act, “有害物質規制法”)は、そのインベントリーに収録されている化学物質は “既存化学物質”、そうでないものは “新規化学物質”とよばれています。しかし、本法においては “既存化学物質”と “新規化学物質”は対の関係ではなく、本法が制定された1973年当時に、既に日本国内で流通していた化学物質を “既存化学物質”といいます。新規化学物質として届け出たのちに公示され、新規化学物質でなくなれば “既存化学物質”とよばれるわけではありません(上述の 6つのカテゴリーのいづれかに指定されます)。
 

法対象物質

6つのカテゴリーそれぞれについて、また 新規化学物質 について、各条文で定義されています。
なお、経済産業省のウェブサイトに法対象物質の一覧があります(「経済産業省ウェブサイト」)。
 

対象物質例

[第一種特定化学物質]

ポリ塩化ビフェニル(: “PCB”)、ポリ塩化ナフタレン(塩素数が2以上のもの)、ヘキサクロロベンゼン など
 

[第二種特定化学物質]

トリクロロエチレン、トリフェニルスズ=N,N-ジメチルジチオカルバマート、トリブチルスズ=メタクリラート など
 

[監視化学物質]

酸化水銀(II)、ポリブロモビフェニル(臭素数が2から5のもの)、ペルフルオロドデカン酸 など
 

[優先評価化学物質]

二硫化炭素、クロロホルム、トルエン、メタノール、ギ酸、シアン化水素 など
 

義務の例

  • 第一種特定化学物質
製造、輸入は原則禁止です。
 
  • 第二種特定化学物質
毎年一定の期間に、前年度の製造/輸入量の実績の届け出を要します。また、次年度における製造/輸入数量、用途の事前届け出も要します。
 
  • 監視化学物質, 優先評価化学物質, 一般化学物質, 特定一般化学物質
毎年一定の期間に、前年度に指定数量以上を製造/輸入した場合に届け出を要します(届け出不要物質もあり)。
 
  • 新規化学物質
製造、輸入の前に届け出を要します。しかし条件によっては届け出が免除される場合もあります。