麻薬及び向精神薬取締法

 

法の概要

(法第一条) この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。
 

法対象物質

主に以下の 5つに分類されます:
  1. 麻薬: 法別表第一に掲げるもの

物質例: ヘロイン、モルヒネ、アセチルメタドール、オキシコドン、ニココジン、ならびにそれらの塩等
 
  1. 麻薬原料植物: 法別表第二に掲げるもの

物質例: コカ、ハカマオニゲシ等
 
  1. 家庭麻薬: 別表第一第七十六号イに規定するもの

物質: 10部/1000部以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有する物であって、これら以外の麻薬を含有しないもの
 
  1. 向精神薬: 法別表第三に掲げるもの

物質例: フェノバルビタール、ジアゼパム、オキサゾラム、メチルフェニデート、ならびにそれらの塩等
なお、政令にて 向精神薬の中で 第一種向精神薬、第二種向精神薬を定めていて、またそのどちらでもない向精神薬は 第三種向精神薬と呼ばれます。
 
  1. 麻薬向精神薬原料: 法別表第四に掲げるもの

物質例: アセトン、エチルエーテル、ピペリジン及びその塩類、無水酢酸等
なお、法別表第四第九号にて “前各号に掲げる物のほか、麻薬又は向精神薬の原材料となる物であつて政令で定めるもの”との指定がありますが、これにて指定される 麻薬向精神薬原料は “特定麻薬向精神薬原料”とよばれ、より厳しく規制されます。(物質例: 過マンガン酸カリウム、無水酢酸など。この 無水酢酸のように、”通常の”麻薬向精神薬原料と重複して指定されているものもいくつかあります。)
 

義務の例

  • 法規分類(麻薬/向精神薬/麻薬向精神薬原料 等)に応じて、またそれらの取扱いの目的に応じて 厚生労働大臣、または都道府県知事に必要な届け出をしなければなりません。例えば、麻薬の輸出入については厚生労働大臣の許可が必要です。また、原則、麻薬、向精神薬の取扱いの際は免許が必要です。

  • 麻薬向精神薬原料の取扱いについても厚生労働大臣、または都道府県知事へ届け出が必要な場合があります。なお、麻薬向精神薬原料の輸出入は、それを業とする場合(業務届を要する)とそうでない場合で届け出が異なります。

  • 本法にて規制されている化学物質(/物品)が、当法令のみで規制を受けているとも限らず、他の法令との兼ね合いにも注意が必要です。例えば、麻薬向精神薬原料の輸出の際は、本法の規制のみならず、輸出貿易管理令の規制も受け(輸出貿易管理令別表第2-21の3)、また別に経済産業省への届け出も要するため注意が必要です。

 

“麻薬”ということばについて

脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊、多幸感、幻覚などをもたらす薬物を、俗に “麻薬”と呼ぶこともありますが、当法令内の条文における “麻薬”は、上述のとおり 法別表第一にて定められている物品になります。例えば “あへん”は本法においては “麻薬”ではありません(が、当法令にて規制を受けます)。
本法を含め、以下の 4つの法律は “薬物四法”とよばれ、日々 薬物を取り締まっています。
- あへん法
- 覚醒剤取締法
- 大麻取締法
- 麻薬及び向精神薬取締法