毒物及び劇物取締法 (毒劇法)

 

法の概要

(法第一条) この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。
 

法対象物質

毒物/劇物/特定毒物の類別があり、具体的な対象物質は法別表や、指定令にて掲げられています。ただし、対象物質は定期的に改定があるため注意が必要です。原則として 劇物 < 毒物 < 特定毒物 の順に毒性が強くなります。
 

[毒物]

法別表第一および指定令第一条に掲げるものであって、医薬品および医薬部外品以外のもの
例: 黄燐, シアン化水素, 水銀, セレン, 砒素, 弗化水素 など
 

[劇物]

法別表第二および指定令第二条に掲げるものであって、医薬品および医薬部外品以外のもの
例: アンモニア, 塩化水素, カリウム, 臭素, 硝酸, 沃素, 硫酸 など
 

[特定毒物]

毒物であって、法別表第三および指定令第三条に掲げるもの
例: 四アルキル鉛, ジエチルパラニトロフェニルチオホスフェイト(パラチオン), 燐化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤 など
                パラチオン

ちなみに、これらの例のように、対象物質はほぼすべてが化学物質ですが、ただ 1つ法対象にされている "木の実"があります: 毒物及び劇物指定令第2条39; "しきみの実"。
また、本法の対象物質は、原則 日常に流通している有用な化学物質(等)の中から、毒性の強いものを選定して指定されています。なので毒性のある化学物質(等)がすべて本法で規制されているというわけではありません(例えば、”ふぐ毒”として知られる テトロドトキシン、民生用途のまったくない毒ガス サリン などはよく知られた猛毒ですが、本法では規制の対象ではありません)。
 

義務の例

  • 法対象物質の製造/輸入の際はあらかじめその物質を取扱う旨を届け出なければなりません。

  • 法対象物質の販売の際は販売業の登録が必要です。

  • 法対象物質の譲渡の際には、その容器、被包に所定の情報をラベル表示するとともに、一部の例外を除き、物質に関する所定の情報を邦文で記した書面(SDS)をあらかじめ提供しなければなりません。

  • 貯蔵設備は、鍵をかける、柵を設けるなど、構造等に条件があります。


情報提供

法対象物質の譲渡の際に提供しなければならない情報(ラベル表示、SDSの内容)は以下のとおりです。
 
毒劇法ラベル記載項目
1 毒物又は劇物の名称
2 毒物又は劇物の成分および含量
3 情報を提供する毒物劇物営業者の氏名及び住所
(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
4 「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の表示
(毒物: 赤地に白文字、劇物: 白地に赤文字)
5 厚生労働省令で定める毒物及び劇物について、その解毒剤の名称など
(塩化水素、または硫酸を含有する液体状の住宅用洗浄剤、DDVPを含有する衣料用防虫剤、販売業者が直接の被包を開いて毒劇物を販売/授与するときには上記に加えさらに別途必要な情報があります)
 
毒劇法SDS記載項目
1 情報を提供する毒物劇物営業者の氏名及び住所
(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
2 毒物又は劇物の別
3 名称並びに成分及びその含量
4 応急措置
5 火災時の措置
6 漏出時の措置
7 取扱い及び保管上の注意
8 暴露の防止及び保護のための措置
9 物理的及び化学的性質
10 安定性及び反応性
11 毒性に関する情報
12 廃棄上の注意
13 輸送上の注意

なお、SDSに関しては、JIS Z 7253に準じた作成をすれば、 二 毒物又は劇物の別 以外の情報は満足することができます。